心ないNGOと心あるCBO③




(心あるCBO編)

配属先の現状というダークなブログでしたが、続きがあるんです。

ルナとはほとんどなにも進んでいないんだけど

だからといって、なんにもしてない訳じゃないんです。


来て3ヶ月頃に行ったOVCワークショップでたまたま隣だった人が、

今の私にとって、とっても重要な存在になっている。

彼の名前は、Mr.Peace!

牧師さんなので、Pastor!と呼ばれている。


彼の人生と、私と彼の関わりを紹介します。


Peace Katulege(ピース カテレゲ)通称Pastor(パスター)

1969年生まれ、現在40歳。素敵な奥さんと7人のかわいい子どもに囲まれている。

肩書きは、教会の牧師さん、大工さん、

そしてKAMCAREという小さなCBO(地域ベース団体)のコーディネーター。

パスターの家族は、日本人が聞いたらちょっとびっくりすると思う。

まず、彼の兄弟は72人!

というのは、彼の父は12人の妻がいた。その12人の妻の間に72人の子どもを作ったのです。そう、一夫多妻という文化が少なからず残っているウガンダならでは。


そして更に驚くのが、72人の兄弟のうち、53人が既に亡くなっています。

彼のお父さんも、彼が小さかった頃に交通事故で亡くなりました。


パスターの本当の兄弟(お母さんが一緒の兄弟)は10人いました。

一番上のお兄さんは小さい頃亡くなりました

二番目のお兄さんは、現在AIDSを発症しています。奥さんは既にAIDSで亡くなっています

三番目のお兄さんは子どもを3人残して奥さん共にAIDSで亡くなりました

四番目のお兄さんも、AIDSで亡くなりました。7人いた子どもは全員亡くなりました

五番目のお兄さんは自殺したそうです。

六番目がパスターです。

七番目の弟もAIDSで亡くなりました

八番目の妹は夫からHIVに感染し、AIDSで苦しんでいます。夫とは離婚して4人の子どもが残っています

九番目の弟は、遠くで元気に生きています。

十番目の妹は、小さい頃にマラリアで亡くなりました。

 ・・

というのが彼の兄弟の話。

信じられないような話だけれど、信じる以外ないみたい。

以前、彼の実家に連れて行ってもらったときに

家の後ろの庭にたくさんのお墓があって

「これが、お父さん。これが、二番目のお兄さん。これが、弟、これが・・・・」

と説明されたことがある。


パスターの奥さんは一人で、

(現在は教育をちゃんと受けている人は一夫多妻制を批判しています)

5人の子どもがいる。

3才のDeborah、5才のGift、8才のRebecca、10才のMuwanguzi、13才のHarvest。

みんな、めちゃくちゃ、かわいい。


それから、親戚の孤児(10才のDiana, 15才のJoseph)を預かっているから、

7人の子どもがいる。


ウガンダは、家族や親戚のつながりがとっても強い。

だからさっき紹介したパスターの兄弟に残されて孤児となってしまった子どもたちや

病気の兄弟、年取ったお母さん、そしてさらにはお父さんの他の奥さんの間に出来た兄弟72人のうち、既に亡くなっている53人が残していった子どもたち・・・全部で92人の孤児(両親、片親を亡くした子ども)が親戚にいるわけで、健康なパスターは彼らを少なからず面倒を見ているという。

ウガンダでHIV感染率が爆発的な感染流行した時期が、まさにパスター一家を襲っている。

1991年にはウガンダの農村を中心に感染率は30%を超えている。


それでも、ここまでぼろぼろになった家族は珍しいのでは?と聞くと、

家族に何かの悪い魔法がかけられた・・・と彼自身言っているくらい。

そんなパスターは、なんとか必死に学校を卒業して

大学後はケニアに留学したり、大工さんになるためにテクニカルスクールに通ったりと

かなり優秀に育ったのでした。

家族がこんな目にあっているから

本当に心の痛みを分かる人だと思う。


それで彼は、自分でHIV/AIDS予防と孤児・家族を支えるためのCBOを立ち上げた。

Kamuli HIV/AIDS prevention and Family care project. KAMCARE)


④につづく(長くてすいません!)