パールハーバー




小学生の頃、両親に連れられてハワイに来た。

記憶にはもうほとんどないけれど、断片的な記憶がある。
その中の一つに、パールハーバーに行って、「怖かった」という記憶。
沈んだ潜水艦や、まとめられた戦争のビデオを見せられ、ただ怖かった。

誰でも来たことのあるような
大・観光地のオアフ島。

日本人がどこにでもいるし、
典型的な日本人は、
ヒールの高い靴にハワイらしい爽やかなオシャレをした服を着て、
ブランドものを身につけて歩いている。

ワイキキは本当に、日本人だらけ!!!
ハワイに来なくても買えるようなブランド品や
創り上げられた「楽園・ハワイ」をここぞとばかりにお金を出して買う人々。
ワイキキのショッピング街は私にはあまり縁のない場所だと思ってしまう。

ワイキキから少し離れれば、
観光客も減ってとても素敵なところがたくさんある。
緑が多くて空がきれいで、
そんなハワイはやっぱりみんなが魅了されるように素敵な場所だと、思う。

私は、ハワイに来たら、パールハーバーには来たかった。
数年前に上映されたパールハーバーの映画も見て思うことがあったし、
60数年という、私には大昔のようで、
でも、おじいちゃん、おばあちゃんの記憶には鮮明な時代の歴史を、
日本からの視点とアメリカからの視点で感じることは
私の世界観や社会や物事に対する価値観を築いていく上で大切なこと。

パールハーバーを訪れて驚いたのが、
「戦艦アリゾナ」に渡る船が15分に一度出ていて
テーマパークのようにたくさんの人が訪れる大観光地。
でも、あれだけ日本人で溢れるハワイ(ワイキキ)なのに、
パールハーバーには、ほぼ、日本人が、いない!

バカンスでくるハワイに、
攻撃した側の日本人がパールハーバーを訪れるなんて考えもしないのかもしれない。
というより、ガイドブックに、載っていないんだ。
日本でたくさん目につくハワイのガイドブックには、
パールハーバーなんて載っていない。
載っていても、ほんの少しだけ。
ガイドブックのページを埋め尽くしているのは
ショッピングやパンケーキや食べ物、マリンスポーツの情報がほとんどと。

でも、そりゃ、そうだよね、
みんな、ハワイにバケーションに来るんだから!

 

話は戻って、パールハーバー。

戦艦アリゾナに渡るフェリーは、無料。(軍の宣伝だからなのか?笑)
まずは、映画館みたいなところに入って、30分程度の歴史の映像を見させられる。
もちろん、完全にアメリカからの視点で。
「日本の奇襲によって、幸せなハワイのたくさんの人が犠牲になった。
どれだけの軍艦がやられ、こんなにたくさんの犠牲が出た。
そして戦争が始まった。」
というようなことが、映像をさらに盛り上げるBGMと共に流れる。

そしてその映像を見て気持ちは1941年にさかのぼったところで
フェリーに乗り込み、戦艦アリゾナが沈んでいるその上に建てられた
メモリアルに着く。
アメリカの国旗が堂々と掲げられ、犠牲者の名前が並ぶ。

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私には、よくわからなかった。
もちろん、パールハーバーを攻撃したのは日本。
犠牲者がたくさん出て、戦争が始まった。

でも、70年近くたった今、様々な事実を伝える調査があったりする。
単純に、日本やアメリカの歴史の教科書に書かれている「事実」が
「事実」であるのかさえわからないと思うのだ。
世界中を旅する中で、様々な戦争の歴史を訪れてきた。

パプアニューギニアの日本軍戦跡。
ベトナム戦争跡。
カンボジアのトゥールスレーン博物館や地雷原。
広島・沖縄の平和記念公園。(長崎は行ったことない)
ウガンダでは内戦のためにできた難民キャンプを訪れた。
そして、パールハーバー。

それぞれに感じるものがあり
今ある戦争が早く終わることと
これからの未来に戦争なんて起こらないことを
単純に願った。

ただ、パールハーバーでは、
高校生の頃留学していたアメリカの高校で
授業の合間に「軍隊募集!」と高校生が見たらかっこいいと思うようなCMが流れることや
沖縄で米軍基地の反対運動がもうずっと続いていて
沖縄はいつまでたっても基地の島であり続けていることや
アメリカが戦争をたくさんしていることや、
そういったことを思い出してしまう。

そして忘れてはいけない、ハワイはもともとはアメリカではない。
アメリカがこの島をアメリカの領土にし、
観光大国に作り上げていったこと。

 

そしてワイキキに戻ると
本当にたくさんの日本人が
おしゃれに身を包んで買い物を楽しんでいる。

ワイキキとパールハーバーを往復し、
本当のハワイは一体どこにあるんだろうと思わされる一日だった。