アフリカの雨の記憶




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雨の音。

屋根をたたく雨の音は
私にとっては
なんとなく寂しくて孤独な音。

ウガンダにいたのはもう三年前。

あの頃住んでいた私のアフリカンハウスは
レンガを積み上げて、トタン屋根を乗せた、シンプルな家。
もちろん、トイレも水道も何もない、ただの四角い空間。
かろうじて電気が通ってたものの、大半は停電で通じない。
電気がないのは、たいしたことない。

アフリカンタイムに身を任せて、過ごせばいい。
キャンドルや、ランタンに火をともして
オレンジのあったかい灯りは、なかなか雰囲気があって、好きだった。

水道がないのは
水を汲みにいく手間は面倒だったけど、
となりの子どもたちが、水汲みを手伝ってくれていたし
みんなそうしていたし、慣れれば大丈夫。

雨を集めて、洗濯や食器洗いに使うなんていう技も、お隣さんから身につけた。

いろんなものがなかったけれど、
なければないでなんとかなったし、
工夫が生まれたり、
ないからこそ、時間の使い方が丁寧だったりした。

先進国の大都会の生活に慣れていた私には
アフリカンライフは初め、大変だったけれど
なれればたいして問題はなかった。

ただ問題だったのは、
雨の音。

赤道直下のウガンダの雨は、スコールのような熱帯地方の降り方をする。
一時間くらい、ものすごい勢いで降り、そしてまた、いつもの真っ青な空が顔を出す。

昼間はいい。
みんな仕事も家事も中断して
部屋に入ってのんびりすごす。
晴れたら
顔も晴れて
心もなんだか晴れる。

ただ、ただ、私にとって
夜の雨は最悪だった。

一番、
こわくて、さみしくて
嫌だったのが、
夜の雨だった。

雨が降ると、通っていた電気も必ずのように途絶える。
雨がトタン屋根に落ちる音は
ものすごくて、
耳を塞いでも
どうしようもないくらいに、
全身を包みこむほどに、
私に恐怖を与えた。

真っ暗の中、ひとり。
雨がトタン屋根をたたく酷い音。
どれだけの大声も
お隣さんにも聞こえないはずだから
昼間なら久しぶりの大声で雨の音の中今こそ!と歌を歌っていたけれど

夜は
雨音に叩き起こされて
真っ暗で
なんか怖くて
孤独だったな

って
いまでも
夜や明け方、雨が屋根を叩き出すと
少し切なくなる。

日本の雨は、しとしと、と降るから
また少し違った感覚も覚えるけれど。

8月なのに
こんなに涼しくて
夏が好きな私は
涼しさは嬉しいけれど
やっぱりもう少し、ギラギラ太陽の夏を感じたい。

今週末はまた、長野でした。

夏はあっという間にすぎていく。

となりのお家のお庭に
背の高いヒマワリが
家を出る度に力強く私を見下ろしてきたけど
昨日はなんだかもうしょんぼりしてるように見えた。

雨もいいけど
やっぱり夏だから
早くまた、晴れますように!

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