未来に向かっていくとき
前に進む力があふれ出そうなとき
私はいつも、過去を見る。
人生は、一日一日の積み重ね
その積み重なったものが
私たちが生きている「今日」であるから
だから私は前に進みたいとき
過去の自分ともう一度出会い、もう一度向き合う、という作業をする。
何をするかって
中学生の頃から
日常のことや夢やいろんな感情を書きためている
35冊分のノートの中から
必要な時期のノートをひたすら読み返す。
過去の自分が今の自分に教えてくれることはたくさんあるし
どうやって自分の今が作られてきたのかを実感することは
これから見ていく先を実感することでもある。
3年前の記憶。
沖縄に住んでいたころ。
彫刻家・金城実さんのアトリエ(読谷の)に勝手に入りこんだ。
金城実さんは、10年がかりで100メートルレリーフの「戦争と人間」を完成させた彫刻家。
心から感動した。
金城実さんが出てきて
中に入れと言ってくれて
コーヒーを出してくれた。
三線が出てきて歌っているうちに
金城実さんと話し始めた。
基地問題、沖縄から見る平和のこと、いろいろ。
金城実さんは、靖国訴訟を先頭に立っていった人だった。
憲法9条を守ろうとしている人だった。
金城実さんのお父さんは、23才で戦死していた。
実さんは、母の前で、マスコミの前で、その父を「犬死にやった」と言った。
靖国を総理大臣が参拝することは、沖縄の戦争で死んでいった多くの人、
その遺族を完全に傷つける行為だった。
それに対しての裁判は、現場検証や証言者が多くいたにもかかわらず、全てを棄却された。
実さんは、どれだけくやしかっただろう。
実さんの作品は、本当に凄い。
すごいんだ。
実さんの心の底からの表現だ。
実さんは、
たくさんの話を聞かせてくれた。
暖かい話。
おいしい沖縄のご飯まで出してくれた。
食べてくれてありがとう
と、言ってくれた。
そしてたくさんの言葉をもらった。
このアトリエに来る人は、どんな人も、歓迎する。
警察に追われている人でも、ホームレスでも、アル中でも、どんな人だって。
言いたいことは、あなた達若い人がこれからどんな仕事をして
どんな人生を送っていくのか。
未来は全てあなたのもの。
未来を作っていく若いあなただから、こうして受け入れる。大切にしたい。
あなたが風のように入ってきて、風のように去る。
一つの出会いだ。
また、いつでも来なさい。
寝るところもご飯もそれくらいならある。
若い人たちが作っていく未来だから、私は、あなたを応援する。
・・・・
金城実さんがくれた言葉を私は全て記憶しておきたかったけれど
聞いて一生懸命理解するだけで精一杯だった。
実さんは、帰り際に、実さんが書いた小説と、
実さんの本棚から私が読みたいと言った「カンボジアPKO」という本を貸してくれた。
そんな記憶。
出会いは一瞬、風のよう。
けれど、そこから生まれるもの
そこから広がるもの
たくさんある。
私は、前に、進みます。
過去の自分と向き合って、そしてぐんぐん進んで行こうと思います。
金城実さんの100メートル彫刻、「戦争と人間」