トトロの世界のおばあちゃん




春になって新緑がきれいなこの山の中。
田んぼに水が入ったと思ったらもうお米の赤ちゃんたちが育ち始めている

福島のおばあちゃんたちは、元気だった。

腰が90度以上確実に曲がっているおばあちゃんも
顔がしわくちゃで子どもくらいちっちゃなおばあちゃんも
畑仕事で手が真っ黒なおばあちゃんも
みんなみんな元気で
体にだけは気をつけて行ってくるんだよ
と真っ直ぐな目で言ってくれた

腰が90度曲がっているおばあちゃんは
絵本の中から飛び出してきたよう
淡い緑色の着物に手作りの帯を巻いて
いかにも私服ですって雰囲気を出しながら手に持つ風呂敷も手作りで
おばあちゃん、お家、農家?
との私の一言からおばあちゃんのスローライフトークが始まった

そうだよ、自分が食べるのしか作ってねーげどね
じゃがいもだべ、さつまいも
いまはよぉ こごめ。ごはんとたべるとおいしぃんだな
毎年こごめはこーんなに とれるんげどよぉ
今年はこれっぽっちしかとれねかったよ
いちごはもーすぐだなあ あめーんだ、いちご。
夏はたげのこ(タケノコ)
いっぺ~はえてくんよ
すいかもなーこ~んなでっけーのとれっからよ~
秋は最高だべよ
柿の木にあっまーい柿がいくっつもなるんだよ
なず(梨)もなーりんごもなーあの山のうらっかわによ~
・・・・

こんなかんじ。

おばーちゃん、「スローライフ」なんて言葉 言ってもわかんないだろうな
と心の中で思いながら うんうん とうなずきながらきていた。

東京のど真ん中でスローライフという言葉を良く聞くようになった。

スローライフ 

はやっているけど
間違いなく、このおばあちゃんが日本一のスローライフ実践者だ!

自分の食べる野菜は自分で作って
春になったら春の食べ物を山から取ってきて
夏には夏のもの
秋には秋の収穫を
こんなに季節を感じながら生きられる場所がここにあるんだ

日本の田舎って知っているつもりでいたけど
こんなに、田舎なんだ、
こんなところに、おばあちゃん、住んでるんだ、
まさに、となりのトトロの世界くらいな田舎を体験してしまったな
と、都会で「スローライフ」にあこがれていた私は思ったよ

田舎がいいとか、そんなこと言いたい訳じゃないけど
日本の季節をおもいっきり感じて
体は大地と季節に染められて
おいしい空気とおいしいご飯が人を育てる

そんな当たり前であるはずのことから
かけ離れた人生を私は送っていることを実感した

ウガンダに行ったら、きっとウガンダの大地と季節に染まるかな
でもきっと
都会でスローライフにあこがれてた自分が恋しくなるんだろうな

おばあちゃんはこんな事も言ってた

最近ホトトギスがぜんぜん泣かねぇ
いちにひきはいっけどよ~
イチジクの時期なんかよ、スズメバチがたーくさん群がるけど
今年は一匹も来なかったよ
気候が変わってきてるからなあ~

福島の田舎で忙しく英語の勉強をしているけど
福島のおばあちゃんは
大地と地球と人間のつながりを再確認させてくれたみたいだったんだ